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現在49歳の男です。無職になったのは36歳になったばかりの頃。
当時は景気のいい話題は何もなく、リストラや派遣切りなどが横行していました。勤めていた会社は大手の外食チェーンでした。
大手外食チェーン店長から完全無職へ
不景気のあおりは家庭の外食費を切り詰める結果となり、会社は人件費削減に大きくシフトせざるを得ない状況でした。
そんな中、社内の中堅職員を対象とした早期退職者制度に応募いたしました。
元々、外食産業は残業に次ぐ残業の日々。
休みもままならず、20日連続勤務などもザラでした。そんな生活に嫌気がさしていたのも事実です。また、働けど働けど会社からの評価はほとんどなく、ボーナスは下がる一方。完全に仕事への意欲を失っていました。
そんな中、会社が30歳以上を対象とした早期退職者を募集し始めました。早速応募しました。応募してから話はとんとん拍子に進み、3か月後には退職。
晴れて自由の身となります。まずは1ヵ月位ゆっくりしようと考え、親の仕送りと失業保険を使い、優雅な無職生活をスタートさせました。
無職の生活、心境
その頃、ちょうど下の娘が生まれたばかりでした。その為、子供の世話や妻の手伝いなど忙しい日々を送っていました。1か月程は通院やらなんやらであっという間でした。私も周囲も「無職で良かった」という雰囲気です。無職の身に対して何ら罪悪感がありませんでした。また、心のどこかで「この生活がずっと続けばいいな」なんてことも考えるようになってきました。
そんな生活が3か月ほど過ぎました。この頃になると失業保険の期限も近づき、周囲も「まだ仕事しないでプラプラしてるよ」と手のひらを返したような接し方をしてくるものです。
もちろん、「子供もいるのだから定職について頑張ろう」という気持ちはありましたが、体が全く動きません。自分が無職でいることをどうにか正当化しよう、ということばかり考えていました。
「俺なんか誰にも認められないよ」「定職に就くと人付き合いとか面倒だな」「誰にも縛られない生き方がしたい」等、今から考えたらずいぶん勝手な言い分が頭の大半を占めていました。
要は無職が癖になってしまったのです。しぶしぶ通い始めたハローワークには、「いかにも無職」な人ばかり。私はこの人達とは違うんだぞ、と思っていましたが、周囲から見たら余程彼らの方が就業意欲の高い人たちでしたね。そのような気持ちのまま、親を頼り、生活費を頼る様になっていました。
無職生活と変化のきっかけ
無職の生活も一年が経過しようとしていました。下の子もつかまり立ちや片言ですがしゃべる様になるまで成長しておりました。周囲もあきらめたのか、それほどうるさくなくなってきたのもこの頃です。
人生の事、家族の事、これからの事、死の事などの考えがぐるぐると頭を巡っていました。夜も眠れず、自分は何のために生きているのか?と、不健康な日々。
そんな中、ぼんやりと「生きてこそ」という映画を見ていました。若者が雪山で遭難してしまい、皆で力を合わせて下山するという物語です。その中で「どうせ死ぬなら歩きながら死んでやる」というセリフがありました。
そのセリフに自分をあてはめて見ると、「どうせ仕事で潰れるんだ。だったら少しでも抵抗して潰れてやる」というほんの少し前向きになれるきっかけをつかむことが出来ました。まずは今どんな職種が募集にでているのか、久しく遠ざかっていた求人誌を見ることから始めました。
再起
求人誌には多くの募集がありましたが、中でも介護職が目につきました。介護といっても色々あるようで、私はデイサービスという業種に応募しました。
介護の世界は資格がないとできないと考えていましたが、その会社は「経験不問」「資格なしでもOK」と大きく謳っていたので相談しやすかったです。よほど人手が足りていないと見え、こんな私でもとんとん拍子で話が進み、あっという間に採用。
小さい会社でしたがアットホームで、なんでも相談できる雰囲気の社長さんがいらっしゃいました。
初めは週3回の非正規職員でしたが、それでもつらかったのをよく覚えています。周囲の方々に支えられ、どうにか継続することが出来ていました。
デイサービスのお年寄りもだんだん私の顔を覚えてくれるようになり、声をかけてくれたり、家族に励まされたりしているうちに気持ちに変化が現れます。私の為に多くの方が尽力してくれている、その恩を返してゆきたい!と。
まずは正社員になることを決意。小さい会社だったので、すぐになることが出来ました。「正社員になることは重責が付きまとう」ではなく「正社員は無職と比べてより多くのありがとうを頂ける。」という考えで取り組めるようになりました。
終わりに
この様に、下手をするとそのまま永遠に無職が続いていた状態からちょっとしたきっかけで抜け出すことができました。
無職から正社員になって感じたことは、自分が気にするほど周りの人は自分に関心がないのだという事。
つまり、「自分に対する評価は自分自身でしてあげる」という事です。会社の評価や上司の評価を待っていては本当の自分らしい仕事はできません。
自分の「やる気」や「元気」は自己管理です。他人から与えてもらうものではありません。「世に中の人々の為に自分は仕事しているんだ!会社の為ではない!」というブレない考えを持っていると、評価は後からついてくるものです。