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厳しい入社試験を突破してせっかく就職が決まっても、数か月~数年内に退職する新卒者は少なくありません。退職の原因は人間関係、給与、仕事内容などさまざまです。
もし新卒で入社した会社の退職を考えている人は、どのような流れで退職すればよいのでしょうか?退職をするために押さえておきたいポイントほか当記事では解説しています。
新卒で退職は意外に多い?離職率
厚生労働省による2018年の発表によると、2015年3月に高校や大学などを卒業して就職した新卒者の「3年以内の離職率」は、高卒者が39.3%、大卒者が31%でした。
業種別では 宿泊業・飲食サービス業49.7%、教育学習・支援業46.2%、生活関連サービス業・娯楽業45.0%などが上位にランクしました。全体として、会社の規模が大きくなるほど離職率は低くなる傾向が見られたようです。
新卒退職のメリット、デメリット
新入社員の多くは、期待に胸を膨らませて入社します。しかし、いざ入社してみたら「こんなはずじゃなかった」ということが起き、人によっては退職を考えはじめるわけです。
新卒退職して結果的に正解だったという場合もありますが、いざ辞めてしまった後に後悔してしまうケースもあるようです。ですから、もし新卒で入社した会社をいざ辞めようかと感じたとき、新卒退職のメリットとデメリットについてあらかじめ把握しておくのがよいでしょう。
新卒ブランド、カードを失うデメリット
新卒で入社した会社を短期間で辞めた場合、一般的には数多くのデメリットが生じると考えられています。その重たるデメリットは転職先が決まりにくいということです。それは、前職をすぐ辞めた人材はまたすぐに辞めてしまうのではないかと懸念されがちだからです。
ただ、転職面接の際に、否定的な理由で退職したわけではなく今後のプランを明確に述べることでマイナスイメージを払拭できるケースもあります。
新卒者が退職するメリット
新卒者が退職するメリットは、心身ともにストレスから解放されるという点が真っ先に挙げられます。例えばパワハラが職場に横行していたり労働基準法を無視した長時間労働が強いられたりするような職場では、長く勤めれば勤めるほど心身ともに疲弊していきます。
もしそういった劣悪な環境で働いていたならば、早い段階で退職できてラッキーだったと考えることができるということです。ある意味、良い社会勉強になったと捉えてもよいかもしれません。
なお、ひと昔前の日本では新卒一括採用が一般的でしたが、現在の就職戦線では第二新卒採用も活発に行われています。ですから、可能性としては新卒時に入社した会社よりも条件の良い転職先が決まる可能性も十分あります。
新卒で入社後、数ヶ月で退職した場合は第二新卒として扱われる?
新卒で入社した会社を短期間で退職した場合、果たして第二新卒として転職活動をスムーズに行えるのでしょうか?
第二新卒の定義は?
第二新卒の定義は「学校を卒業後、一度就職をしたが数年の内に離職し、転職活動をする若手求職者のこと」です。数年内という期間については特に定義がありません。ですから、たとえ数か月あるいは1年ほどで退職したとしても、就業経験として計算され第二新卒として扱ってもらえます。
新卒で退職する場合の退職の伝え方、理由
いざ退職したいと思ったとき、円満に退職するためには必要な手続き踏むことが必要です。その際に押さえておきたいポイントを以下いくつか説明します。
退職したいとまず誰に伝える?
まず退職したい意向を誰に伝えればよいかということですが、基本的には直属の上司が適切でしょう。ポイントとしては、他の従業員に悟られないよう、場所とタイミングを選ぶことです。1:1で対話できる個室が最適です。
なお、もし直属の上司が退職願に応じてくれない場合は、さらに上の上司、あるいは人事課に相談してみるのがよいでしょう。月給制の会社では退職の申し出は1ヶ月前までと決まっているので退職希望日の1ヶ月から2ヶ月前を目安に、退職申し出を行うのが一般的です。口頭でもよいですし、退職願を作成しておくのもよいでしょう。
退職届の書き方
いざ退職が認められると、退職届を提出します。法的には退職届についても口頭だけでもできるのですが、事務手続きの記録として残しておくためにも一般的には退職届は書面で提出することが多いようです。
退職届は会社規定の書面がある場合もあります。用紙サイズは A4かB5が一般的で、手書きで書く場合は白いシンプルな便箋を選ぶことがポイントです。封筒は白無地の封筒で郵便番号枠がついていないものを選択しましょう。ペンは黒ボールペンあるいは万年筆で、文字は基本的に縦書きをします。
引き継ぎは必要?
退職が決まれば、退職日までに後任者に対して業務の引き継ぎを行います。引き継ぎをしっかり行っておけば、業務が滞ることもありませんし、退職後に業務上の質問が来る確率も低くなります。そのような意味でも円満退職をするために重要な業務であるといえるでしょう。
なお、ブラック企業を中心に、引き継ぎをする者がいないからという理由をつけて退職日を引き伸ばそうとするケースもあります。その点、引継ぎは義務なのかということが気になりがちですが、決して義務ではありません。
法的に退職の自由が定められており、いかなる会社でも引き継ぎをすることを義務化することはできないからです。つまり、引き継ぎは出来る範囲で問題はなく、それ以降は会社の責任になります。
退職時によくある問題と対処法
ブラック企業によくありがちな問題であるのですが、退職をしたくてもなかなか辞めさせてくれないケースがあります。もし威圧的に退職を引き止められた場合は、法的な解決も視野に入れるとよいかもしれません。
それに関連して、退職届をなかなか受け取ってくれないケースもあります。そういったときは会社に内容証明郵便を送ることで記録を残すことができます。
あるいは退職するなら損害賠償請求すると脅してきたり退職金を支払ってくれなかったりするという企業もごく稀にあるようです。そのような場合、労働基準監督署に相談するのもひとつの手段です。
よくある退職理由ランキング
エン・ジャパンが2018年に行った調査によると、退職理由の上位は「1位 給料が低かった」、「2位 やりがい達成感を感じなかったから」、3位「企業の将来性に疑問を感じたから」、「4位 人間関係が悪かったから」とつづいています。
給与の低さが1位であるのですが、これらの統計については、実際は人間関係の悪さを苦にした退職が潜在的に多いのではないかという指摘もあります。
新卒で退職した後の転職活動、その後
退職するまでに転職先が決まっていない場合、転職活動が待っているわけですが、そこでネックになるのは、退職理由です。
転職活動をすると面接官から「なぜ新卒で入った会社をどうしてすぐに辞めてしまったのか?」と聞かれることはほぼ間違いないといっていいでしょう。
ここで重要なのは、退職理由をいかに前向きな姿勢で示すかです。もし自身に至らないところがあったらならば、その反省をふまえて頑張っていきたいという意向を前向きな姿勢でアピールするようにしましょう。
なお、仮に新卒で入った会社がブラック企業だったとしても前職の悪口を言うのは極力避けておきたいものです。なぜなら、面接官からすると前職の職場の実情が把握できないため、同情されるどころか、自分勝手な人間だと判断されてしまう可能性があるからです。
まとめ
新卒で入社した会社を3年以内で辞める若者は3割以上に及んでいます。新卒退職をする際は直属の上司への相談からはじまり、退職届けを会社に提出したり引継ぎをしたりするなど、一連の手続きをとって円満退職を目指しましょう。退職後、第二新卒として転職活動をはじめる場合、面接では前向きな姿勢で今後のビジョンをしっかり語ることが重要です。