就職活動や転職活動において入社をなるべく避けておきたい会社の特徴のひとつとして、離職率の高い会社が挙げられます。なぜなら、離職率の高い会社は、社員が次々辞めるだけの何らかの決定的な原因があることが多いからです。
当記事では離職率や離職率の高い会社の見分け方などについて解説します。
そもそも離職率とはどのような指標なのでしょうか?計算方法とともに説明します。
離職率とは、ある起算日において働いていた社員数のうち、一定期間おいて退職した社員数の割合を指します。
離職率の計算方法は企業によって統一されているわけではありません。最も一般的に採用されている計算方法は、起算日から一定期間に退職した社員数を、起算日の時点で在籍していた社員数で割るというものです。
起算日(例えば4月1日)において100人の社員が在籍して、それから翌年の3月31日までに5人退職したとしましょう。すると、1年間における離職率は5%という計算になります。そこでは起算日に在籍していた社員が対象になるため、途中入社があった場合、その人数は計算に入れません。
なお、離職率を計算する上での「一定期間については特に規定されているわけではありません。1年間の離職率、3年間の離職率といったように、離職率といっても期間や起算日によって数字は変わってきます。
一般的には離職率が低い会社は社員の定着率が高い優良企業であると考えることができます。ただ、中には意図的に離職率を低く見せかけている悪質な企業もあるので要注意です。
逆に離職率が高いからといって必ずしもブラック企業であるとは限りません。ですから最終的には、求人票や面接などを通して自身の目で、その会社がホワイトかブラックかを判断する必要があります。
離職率が高い会社にはいくつかの特徴がありますが、どうして離職率が高いかについては会社側に問題があるケースがほとんどです。
厚生労働省の発表によると、従業員数30名以下の小規模な会社は、大卒者の離職率が5割を越えており、全体として離職率が高い傾向にあるようです。業種別は宿泊業・飲食サービス業が離職率約30%と他の業種と比べて抜きんでて高いです。
小規模な会社の離職率が高い原因は、経営が悪化しやすく、いろいろな面で不安定であることに要因があると考えられています。1人社員が辞めただけで他の社員が休暇をとれなくなるなど問題が派生しやすい環境にあるのです。
また、小規模な会社は人材教育の環境やコンプライアンスの整備が間に合っていない会社も少なくなく、それが社内での人間関係のトラブルに発展しやすい面もあります。
とはいえ大企業のなかにも離職率が高い会社はたくさんあり、かといって小規模な会社であっても離職率が低い会社もあります。全体としての傾向として捉えるのがよいでしょう
離職率が高い会社で社員が離職をする理由はさまざまです。ただ、大まかに離職理由には共通点があります。一体、離職率の高い会社に勤めていた人々はどのようなことを苦にして離職していったのか、以下、主なものを紹介します。
離職率が高い会社には何らかの問題がある場合がほとんどです。理想は問題ある会社には求人票を見た段階で応募を避けることです。最悪でも入社前までには実情を知って入社しないことが無難でしょう。では、会社の実態について入社前までに把握するにはどのようにすればよいのでしょうか?
会社の実態を調べる方法のひとつはインターネットを活用することです。例えば「カイシャの評判」、「OPENWORK」など企業の口コミサイトがあります。それらには各企業で実際に勤務していた人々の生の声や会社に対する評価がつづられています。
それらを閲覧することで、会社の実態をある程度知ることができます。口コミサイトは匿名で記入できるため、どこまで信憑性があるかは分かりません。ただ、ネガティブな意見が多数書き込まれていた場合、それは会社の問題点として注視しておくべきことだと捉えてよいかもしれません。
その他、ツイッターはじめSNSや掲示板などで、応募しようと考えている会社の評判について調べてみるのもよいでしょう。インターネットが発達した現代において、会社がどれだけ情報を統制しようとしても、悪評判は表に出てくるものです。時には現職の社員が会社の実情について生々しく書き込んでいる場合もあります。
求人サイトや求人雑誌を定期的に見ていると、同じ会社が頻繁に求人募集をかけている場面に出くわすかもしれません。そういった会社は採用しても人がすぐ辞めてしまう離職率の高い会社である可能性があります。
特に高い給料を提示しているのに関わらず求人募集をいつもかけている会社は、長時間労働や過大なノルマを課した結果、離職率が高くなっている可能性があります。
「根気」、「忍耐」、「根性」など精神論ばかりを前面に出して仕事内容は簡単にしか記載していないような会社は要注意です。そういった会社では入社後に過酷なノルマや長時間労働が待ち構えている可能性があると考えてよいでしょう。
面接に行ったときオフィッスの壁にそういった標語が貼られていたり、面接官の態度に違和感を感じたりした場合は特に要注意です。
「未経験者大歓迎」、「学歴、経験不問」など、誰でも簡単に入社できることを前面に打ち出している会社は要注意です。中には未経験者をしっかり育てる優良企業もありますが、そうでない場合は誰でもいいから大量に採用すればよいというスタンスかもしれません。そういった会社では入社させた社員を酷使し、使い捨てる傾向があります。
時間外労働に対して対価を支払う企業はあらかじめ規約を明示しているものです。もしそういた規約がなかったり、あるいは面接で質問しても不明瞭な回答しか返ってこなかったりしたならば、支払う気がないブラック企業の可能性があります。
仕事内容が求人票に簡単にしか記載されていない会社は要注意です。ひょっとすると、あまり人がしたくない業務を入社後に指示される可能性があるからです。ちなみにクレーム対応の業務は、ヘルプデスク、カスタマーサポートなど耳障りのよい言葉に置き換えて記載されていることもあります。
離職率が高い会社の場合、求人サイトやホームページに社員の顔写真が全く載っておらず文字だけのシンプルなことが多いです。その理由は短期間で社員の顔ぶれがさま変わりしてしまうため、使いまわしできる写真を撮影することが難しいからです。なお、顔写真が載っていない企業のなかにも優良企業はたくさんあるので、このポイントは参考程度ということで考えておいたらよいかもしれません。
離職率の高い会社は、長時間労働や残業代未払いなど、何らかの問題を抱えているケースが多いです。これから就職活動、転職活動をする人は、入社前に離職率や会社の評判などをあらかじめ調べ、問題のある会社を避けて通ることをおすすめします。